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上海から2ヶ月ぶりに戻ってきた娘が、現地では未公開の「007スカイフォール」を観たいと言い出し、夫と3人でひさびさの映画館に足を運びました。 なぜかアラサー女子に人気がある?ボンド役のダニエル・クレイグ。ボンドと言えば、初代ショーン・コネリーだろう!とクレイグの魅力にはやや懐疑的だった私は、渋々ついて行ったのですが…… 007シリーズ23作目、初公開より50周年という節目に作られた本映画は、製作側の気合いもみなぎっており、トルコ、上海、マカオ、長崎を含むさまざまなロケ地、CGを駆使したスピード感のある映像、(ボンドの愛車アストンマーチン・DB5に代表される)過去のシリーズへのオマージュなど、実はなかなか面白い作品であることがわかりました。 本作では、ボンドの上司で、引退を迫られるM(ジュディ・デンチ)もさることながら、ボンド自身も、年齢とともに変化する自分自身に向き合わざるを得ない状況になります。 ボンドにハイテク武器を提供するQ(ベン・ウィショー)とボンドが初めて会う場面。 はなたれ小僧にしか見えない若いQに対し、ボンドが “You still have spots.”(まだニキビ面だな)とからかいます。以下はユーモアに満ちた二人の会話。 “Age is no guarantee of efficiency.” (年齢と仕事の能力は関係ない)と、経験のあるボンドに対抗するQ。 “Youth is no guarantee of innovation.”(若いからイノベイティブ(革新的)であるとは限らない)と、やり返すボンド。 なるほど、ごもっとも! 新旧を代表する二人のやり取りは、50周年を謳い文句とするこの映画の中では、象徴的でもあります。 もうひとつ台詞をご紹介すると、MI6の女性諜報員イブとボンドの会話。旧式のかみそりで髭をそるボンドを見て、イブが “How modern.”(今風ね)とジョークを放ちますが、それに対してボンドは次のように言います。 ”Is there anything wrong with sticking to the old ways?”(古いやり方も案外いいもんだよ)stick to~とは、何かにこだわること。 そこで、イブが “Sometimes, the old ways are the best.”(古いものがベストのときもあるわ)と同調するのですが、映画の後半になって、この台詞の意味がなるほど!とわかる場面がありますので、これから観る方は注目してくださいね。 古いと言えば、Mを演じてきたジュディ・デンチにとっては、本作が7本目、「007シリーズ」を引退する作品にもなります。古きを懐かしみ、その思い出を背負いながらも前に進むという本作のテーマに、彼女の長い女優人生が重なっているようにも見えました。 写真のマカロンは007に何の関係もありませんが、ひさびさに、「Keri先生のシネマ英語塾」らしい内容で締めくくることができ、ほっとしています(マカロンをかじりながら、年末のひとときを過ごしているKeriより) (注:2010年10月よりコメントは承認制にしています。すぐにお返事できないこともありますが、感想、ご意見など遠慮なくお送りください) 関連サイト: ジャパンタイムズブッククラブ 「働く女性の英語術」特集ページ
by kerigarbo
| 2012-12-22 15:58
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Comments(2)
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まり
at 2013-01-07 14:21
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先生、お久しぶりです^^
007 Sky Hall 面白かったですね^^ 私も007は「ション・コネリー」だと思っていましたが、ダニエルのボンドもタフでスマート、紳士的で素敵です☆ 過去の作品から取った様々なシーン、セリフに思わす「憎いな」って思いました。 また、若造のQに「もう自分達は要らないのか?」と問うたボンドに「貴方方は銃を撃つ時に必要です」と言われてしまったのに、シルヴァのコンピュータを解読するキーを見つけたのは、ボンドで形無しでしたね^^ また、シルヴァも、これからはコンピュータのボタン一つでなんでも出来る時が来たんだと言っていたのに“Sometimes, the old ways are the best.”と言う言葉、そのままに古い物で留めを刺されたのも憎い演出だなと、すっかりこの作品にハマりました^^ ジュディ・デンチ良かったですね! 彼女のセリフもみんな好きです。 では、先生もお体ご自愛下さいね^^ また、伺います。
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kerigarbo at 2013-01-11 11:43
年をとるごとに素敵になる俳優がいますが、ダニエル・クレイグはその典型ですね。10年後に彼がどうなっているか、期待しましょう。女性はなかなかそうはいきませんが、ジュディ・デンチのように、厳しい中にも母のような慈悲と優しさを持った女性を目指したいものです……
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【Keri先生のプロフィール】
光藤京子(みつふじきょうこ) 英語コミュニケーション・翻訳関連の執筆家・コンサルタント(TAS & コンサルティング)。会議通訳、翻訳ビジネス、大学講師の経験を生かし、これまで数多くの本を出版している。『働く女性の英語術』(ジャパンタイムズ)、『何でも英語で言ってみる!シンプル英語フレーズ2000』(高橋書店)のほか多数。最新書に『する英語 感じる英語 毎日を楽しく表現する』(ジャパンタイムズ)がある。 お気に入りブログ
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