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楽しみにしていた映画がやってきました! 97年にダイアナ妃が不幸な事故でこの世を去った直後の英王室の様子、特に当時のエリザベス女王の心情を人間味たっぷりに描いた映画「クィーン」。主演のヘレン・ミレンがあまりにもその雰囲気がエリザベス女王に似ているということもあり話題になりましたが、映画としてはかなり良くできております。 当時のイギリス国民の王室への批判を、首相になったばかりのトニー・ブレアがどう知恵を絞って回避したかなんてところも見所ですが、何よりもびっくりするのは、あんがい庶民的なイギリス王室の暮らしぶり。 たとえば、女王の寝室。メインの宮殿ではないが、フィリップ殿下とシェアするベッドは結構小さい。普通の家のクィーンサイズ(偶然に同じ名前だ)のベッドのよう。窮屈で眠れない殿下は、女王に次のように言う。 Move over, Cabbage. (ちょっぴり、そっちにずれてくれない、キャベツちゃん) えっ、女王がキャベツちゃん? これは、夫婦間などで呼び合う愛称の一つで、「ハニー」みたいなものだそうだ。(ただし、「ハニー」よりは、「子豚ちゃん」という感じのほうが強いと、今日イギリス人が言っていましたけど。夫婦で毛布を引っぱりあう風景は、女王とて同じなのです!) トニー・ブレアの家もそう。確か弁護士?の奥さんとの生活は、まったく庶民そのもので、Tシャツ姿でお皿を台所に運ぶブレアの姿が微笑ましい。(とにかく、ブレアが徹底的にいい人に描かれている) 一方、宮殿での女王の公務の様子は、イギリスの長い伝統しきたりそのもので、これも笑いをそそう。 たとえば、女王がブレアに謁見するシーン。執事のジャブリンがブレアの訪問を告げると、 Janvrin: The Prime Minister is on his way, Ma’am. (陛下、もうすぐ首相がやってまいります) Queen: To-be, Robin, Prime Minister-to-be. I haven’t asked him yet. (「未来の~」でしょ。私はまだ、彼を首相に任命してませんよ) ~to be は、これから何かになるという意味。(a bride-to-beだったら、もうすぐお嫁さんになる人)主権は自分にあることを強調している。 ドレスに、なぜか用もないのにハンドバックを持ってブレアに会う女王の表情、立ち姿は凛としていて、やはり一般人と違います。 伝統を守る君主として振舞いながら、ある時は一人の人間として、孤独にそっと涙を拭う女王の様子は、ヘレン・ミレンの名演技のおかげもあるが、感動ものです。 この映画、本当の女王はどう思っているのかな? メガネのレンズをセーターの端で磨いちゃったり、上等なスカーフで鼻をかんじゃったり、ごっついジープをたった一人で運転するお茶目な女王の様子は、なんとも無邪気で可愛らしいんです。 とにかく、楽しく中身もある映画です。Enjoy this movie! (写真はLAのゲッティセンター。見事な庭園!)
by kerigarbo
| 2007-04-15 11:13
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Comments(5)
楽しんで読ませてもらいます。
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panda
at 2007-04-17 14:46
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クイーン、おもしろそうですね。最近アメリカではまったくいい映画がないのでちょうどいい映画がないかと探していたところです。今度時間があったら見てみようと思います。ゲティーセンターの写真きれいですね。日本の庭園のようですね。
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kerigarbo at 2007-04-17 17:30
「クィーン」は、イギリス人にも人気が高いようです。女王のよい面が描かれていること、ディテールがきちんとしていることなど。
ただし、私が感想を聞いたイギリス人は、映画のヘレン・ミレンのほうが、ずっとファッショナブルだと言っていましけどね!とても楽しめるので、ぜひ観てください。
Keri先生、やっと「クイーン」を見てきました。良く出来ていますね。口コミで広まっているのでしょうか?日比谷シャンテシネは満員でした。
私は女王が一人で車を運転して川にはまってしまい、そこで鹿に会うシーンが好きでした。イギリスの風景も綺麗に描かれていますね。 エリザベス女王を演じるヘレン・ミレンも良かったけれどブレア首相を演じるマイケル・シーンも良かったです。人に勧めたくなる映画でした。
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kerigarbo at 2007-05-20 08:15
本当にこういう作品は、私は幸せな気持ちになりますね。
ヘレン・ミレンは確か「カレンダーガールズ」(でしたっけ?)にも出ていましたね。あの映画も実に良かった。こういう事実に基づいた、情感があり、かつ切れ味のよい小作品が私は好きですね。
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【Keri先生のプロフィール】
光藤京子(みつふじきょうこ) 英語コミュニケーション・翻訳関連の執筆家・コンサルタント(TAS & コンサルティング)。会議通訳、翻訳ビジネス、大学講師の経験を生かし、これまで数多くの本を出版している。『働く女性の英語術』(ジャパンタイムズ)、『何でも英語で言ってみる!シンプル英語フレーズ2000』(高橋書店)のほか多数。最新書に『する英語 感じる英語 毎日を楽しく表現する』(ジャパンタイムズ)がある。 お気に入りブログ
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