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今月、初の映画の話題です。カトリーヌ・ドヌーヴら主演の「隠された日記 母たち、娘たち」。初日の土曜日、さっそく観てきました。そして、たいへん感動しました。 この映画には、世代の違う3人の女性が登場します。 キャリアを最優先し、両立できないなら家庭も子供も諦めるべきか真剣に悩んでいるオドレイ(マリナ・ハンズ、たいへん表現力のある女優!)。 幼少期に辛い思い出があり、キャリアと経済的自立こそが女である自分にとって唯一の救いだと信じているマルティーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)。 50年代のフランス保守層では「男は外、女は家」という概念が強かった時代に、一人の女性として自立する自由を求め続けた祖母のルイーズ(マリ=ジョゼ・クローズ)。 フランスの片田舎の海辺で(景色が本当に綺麗!)、ベールに包まれていた家族の哀しい秘密と過去が、祖母の残した一冊の日記とともに明らかになっていく、上質のミニサスペンスでもある。 しかしながら、映画の真のテーマは、「女性の自由とは何か?」を一貫して問いかけていること― フランスは女性の自由や自立を早くから奨励してきた国です。カップルの5割程度が法律的に籍を入れない事実婚といわれ、最近は政府の努力により出生率が上がったことでも話題になりました。 ただし、映画で観るかぎり、オドレイの悩み―つまり夫と子供を持ちながら世界をまたぐ活躍ができるかどうか(ここが重要!)―という点では、正解はまだ出ていないようですね。 でも、よく考えると、自由=幸福という図式は必ずしも正しくないかもしれません。(映画のオドレイのように)女性は自由であればあるほど、悩み、傷つき、迷うのかもしれないです・・・(女性のみなさん、そして男性の方々も、この映画を観てよく考えていただきたいです) ちなみに、「シェルブールの雨傘」で一世を風靡したドヌーヴを楽しみに観に来たお客さんもたくさんいました。(15年くらい前までは、この映画のサウンドトラックを聞いただけで涙が溢れてしまうほどでしたが、最近はそうでもなくなりました。年のせいかな?) 66才になったドヌーヴ、当時の「完璧なバービー人形」のような面影はもちろんありませんが、これからは内面を表現できる女優として、ますます活躍していただきたいですね。 写真は、バルセロナの某居酒屋さん。(オドレイのように海外でキャリアを目指す?)わが娘が楽しんだというお店です。 (*今月よりコメントは承認制にしています。ご了承ください) 関連サイト: ジャパンタイムズブッククラブ 「働く女性の英語術」特集ページ
by kerigarbo
| 2010-10-24 11:29
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【Keri先生のプロフィール】
光藤京子(みつふじきょうこ) 英語コミュニケーション・翻訳関連の執筆家・コンサルタント(TAS & コンサルティング)。会議通訳、翻訳ビジネス、大学講師の経験を生かし、これまで数多くの本を出版している。『働く女性の英語術』(ジャパンタイムズ)、『何でも英語で言ってみる!シンプル英語フレーズ2000』(高橋書店)のほか多数。最新書に『する英語 感じる英語 毎日を楽しく表現する』(ジャパンタイムズ)がある。 お気に入りブログ
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